蒼の王様、紅の盗賊
〜2〜






「.....遅いわねぇ、団長」



クロアがバルトを無事に救出して、侵入者騒ぎに揺れる城から逃げ出している丁度その時。

そんなクロアたちを待つ一つの影は、町外れにあるジル達が棲むあの廃墟で
廃墟のボロボロの壁によそりかかるような格好で腕を組み、少し苛々したように足を小刻みに動かす。



カツッカツ.....カツッ。

外は夜の暗闇。
その闇の中に、小刻みな靴音が不気味に響く。











「.......あのぅ」



「えぇ、何か?」




不気味に靴音が響く中、何処か恐る恐るとした老人の声がして
靴音の発信源である彼女.....つまりレイアは振り向く。







「......えーっと....少しお休みになったら如何ですかの?
きっと、彼等なら大丈夫でしょう。そんなに心配なされなくても.....」




「あら、ジルさん。ご心配ありがとうございます。

でも大丈夫ですわ。私のお気になさらずお休みなさって下さい」





恐る恐るな老人の言葉―――ジルの言葉に、レイアは先程までの苛々したオーラをフッと消して
にこやかな笑顔で答える。








「そ....そうかの」



そのにこやかな笑みに、何故か思わず圧倒されて黙り込むジル。

さっきからずっと響いていた不気味な靴音で、皆眠れないから静かにしてくれ.....そうレイアに言いにやってきたはずだったのだが。



このにこやかな笑みを前に、何にも言えなくなってしまった。









 
< 161 / 317 >

この作品をシェア

pagetop