蒼の王様、紅の盗賊
まずは、ずっと仲間を待っていたレイアに、そして続けてクロアとバルトに視線を向ける。
「.....どうもこの馬鹿が心配をお掛けして、本当に申し訳なかった」
ジルの言葉に、クロアは再会の余韻を心の中へと受けとめてジルの方を見て一歩前へと進み出る。
そしてバルトの服を掴み、半ば無理矢理に隣へと立たせて二人一緒にジルへ向かって深々と頭を下げ、言った。
「何すんだよ、おっさん!?痛ぇじゃねぇかよ!」
バルトはクロアに頭を後ろから掴まれ、無理矢理に押されてワァッと不満の声を上げて抵抗する。
だが、頭を掴むクロアの力は思いの外強くて振り払うことも出来ず、ただただ藻掻くような形になっていて腕をブンブンと振り回す。
「うるさい。
お前の後先を一切考えない行動で、この人にどれだけ迷惑と心配を掛けたか.....少しは自覚をしろ。バルト」
じたばたと抵抗するバルトに、クロアはいつめより少し低めの声で威圧感のようなものが籠もる声で言う。
そしてグッと、より一層に力を込めてバルトの頭をより深く下げさせる。
その力の強さに振り払うのは無理だと判断し諦めたのか、ようやく抵抗の動きを止めて為されるがまま頭を深々と下げたまま溜め息をついた。