蒼の王様、紅の盗賊
(全く.....この国は、嫌な奴ばっかだ。この衛兵たちも、あのシュリという男も)
私はその嫌な感じのする声に、私は今までの衛兵からの仕打ちとシュリの冷たく蒼い瞳を思い出して思わずそう思った。
苛立ち。というよりかは呆れに近いような感情。
こういう者たちが国の上にのさばっている現状に、私は呆れざる得なかった。
(.....こういう奴等が語る上っ面の正義が、この国を―――この世界を駄目にしてるんだな)
私は心の中で溜め息をつく。
そして私は何か沸々と沸き上がってきた好奇心に駆られて衛兵の影でチラチラとした姿の見えないその嫌な声の主を一目みてやろう、そう思った。
私は、縄を持つ衛兵にばれないように少しだけ身体を横へとずらしてみる。
一歩ずれる。それ毎に重なっていた影が少しずつ離れ、だんだんと隠れていたその姿が明らかになっていく。
灰色の髪。濁ったように光のない翡翠色の鋭い眼光。
その嫌な声の主もやはりこの国の衛兵か何かのようで、周りに居る他の衛兵たちと同じような格好をしていた。
「――――ッ」
ゆっくり三、四歩身体を横にずらして、衛兵の影で隠れていた嫌な声の主の姿が完全に明らかとなる。
その明らかになった姿が私の紅い瞳に映った時、私の息は一瞬止まった気がした。
「..........お前は....」
一瞬息が止まり、再び空気が通り抜けるようになった私の喉。
その喉の奥から、嗚咽のような言葉が零れた。