蒼の王様、紅の盗賊
レストの口調は、いつも業務的である。
まぁ、実際に彼にとっては業務中である訳だから、問題はないのだが。
シュリはいつもそんな彼に、心なしか違和感を感じるようになっていた。
「.........確かに、今回の失態に関しては、いつでも注意を怠らないお前らしくないものだった。
だが、その失態は奴を捕まえて取り戻せばいい。
そのために、お前は此処へ来たんだろう?」
感じる違和感。
でもそれはほんの些細なことで、その違和感の理由も分からない。
だから、シュリはいつも通り業務的な返答をした。
人との関わりを求めないシュリにとしても、こういう口調の方が気が楽だった。
「はい。その通りでございます。
奴が逃亡した後、国中に警戒を呼び掛け兵を各地に配置致しました。ですが、兵たちから奴が見付かったという報告はまだ受けておりません。
この短い間に国から出たということは、考えにくい。
故に奴はまだ、この国の何処かに潜んで国外への逃亡の機会を狙っているはずでございます」
「.......国外に逃げられたら、手出しが難しくなるな。
どうにかその前に、再び奴を捕まえたいものだが。
レスト。お前に何か良い案はあるか?」
「はい、シュリ様。
奴を早急に見付け出すための案が一つ。
その案を実行すべく、シュリ様にお願いしたいことがあります」