蒼の王様、紅の盗賊








国政は、この参謀を兼ねた自警団団長という立場に居るレストに任せっきり。
ただシュリは彼の提案にYESかNOか、二つに一つの選択を返すだけ。


事実、城に籠もりきりのシュリは国政は愚か国の現状すらレストの業務的な連絡の上でしか知らないような状況だった。








「どうか軍編成の許可を」



答えないシュリに、レストは促すように言う。







「............紅の盗賊討伐のため、軍の編成を許可しよう」



「ありがとうございます。
それでは早速、私はその準備を......」




暫らく黙り混んだ末のシュリの返事。

それを何処か待ち詫びていたように、レストは顔を薄く笑みを浮かべ深々と一礼をした。
そしてそのまま折り曲げていた身体を起こし、その場にスッと立ち上がる。






「待て」



いつでも仕事が早いレスト。
彼は用件を終えると、早々とシュリに背を向け部屋を去るべく大きな扉へと向かっていた。

そんなレストの背を、シュリの短い命令が制止する。






「何でございましょう?」



その制止の声に、予想をしていなかったのか驚いたように一回身体を震わせると、動きをピタリと止めレストは声の方を振り返る。

振り返ったその顔は、いつもの如く無表情に笑みを張り付けたような表情だったが、少しだけ眉を潜めているように見えた。





 
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