蒼の王様、紅の盗賊






ッ。

そんな部屋をレイアはざっと見回して、それから数歩部屋に足を踏み入れる。
そして静かに音を立てないように入ってきた扉を閉めた。






温かな光が照らす壁。

レイアは数歩踏み入れたその足を止めて、そんな壁を伝うように視線で撫でる。



壁を伝い伝い、その向こう。

薄いカーテンで仕切られその先には一つのベッド。
その向こうにあるはずの窓から差し込む月の明かりがカーテンを透かし照らす。



.....そしてそのカーテンの向こう側には、ベッドに横たわる人影とその影に寄り添うもう一つの影が。







「.......」


その二つの影を視界に捉えたレイアの瞳が、少しだけグラリと揺れる。





コツッコツッ。

瞳の中に二つの影を捉えたまま、少しだけ控えめな靴音で止めた足を再び前へと運び始めた。
ゆっくりとレイアは、カーテン越しの二つの影へと近付く。











「............バルト」



月明かりが透かし照らす薄いカーテンの前までやってきたレイア。

彼女は僅かに躊躇うような間を置いて、それからカーテンの向こう側のベッドに横たわる影に寄り添う影に声を掛けた。





「.....ん....」



レイアに背を向けベッドに横たわる人影に寄り添うよう影。
俯き加減でベッドの横にある椅子に座るその影―――バルトは、カーテンの向こうのレイアの存在に気が付き呻くような声を上げた。





 
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