蒼の王様、紅の盗賊
「........全部、俺が悪い。
アスラが牢に閉じ込められてたあの時にアスラを助けれていれば、こんなことにはなっちゃいなかったのに......本当に、自分が情けねぇんだよ」
バルトの拳にグッと力が込められる。手の甲に血管が青白く浮き出る。
その様子からは、悔恨と自分自身への責めが滲み出ていた。
「バルト、貴方のせいなんかじゃないわ。
貴方はこうしてちゃんとアスラを救い出したじゃない。それだけで十分立派よ」
「だけど.....だけどアスラを酷い目に遭わせちまったことには変わりねぇんだよっ!
俺が、俺がアスラを守んなきゃ駄目なんだ。守るってそう決めたんだよっ!
......なのにこの様だ」
守ると決めた。
そんな言葉が、バルトから零れた。
いつも問題ばかり起こして、どうしようもなく子供でそれでいて無垢。
そんな彼からアスラを守るという言葉が出るなんて違和感のようなものがあってならなかったが、彼の真剣過ぎる程のその姿でその違和感はそのうちに掻き消えた。
「........アスラは、アスラはいつも独りなんだよ。
辛くてもそれを隠して自分の中だけに押し込めて、表には出さないようにしてる。
.....俺はアスラの全てを受け止めたい。知りたい。
なのに、アスラは自分独りでずっと苦しんでるんだ」