蒼の王様、紅の盗賊
「えぇ。そういうものなの。
だからバルト、貴方はそのままの貴方でずっと........アスラの傍に居てあげなさい。
あの子には、きっと貴方が必要だから」
琥珀の瞳を見つめるレイアの瞳はフッと笑うように優しく細められて、そのまま流れるようにベッドの上で眠るアスラに移される。
そして一時その優しい視線を彼女へと送って、再びバルトへと視線を戻して笑みを深めた。
「―――分かった」
頷くバルト。
短い返事だった。
けれども、何より明確な彼の意思だった。
「........さぁ、貴方も少し休みなさい。
アスラが心配から此処に居てもいいけれど、身体が保たないわよ。
貴方だって今日は、相当無茶をしたんだから」
「あぁ、分かったよ。
レイア.....ありがとうな」
「ふふっ。じゃあ私は行くわね」
ッ。
そう言うとレイアは立ち上がりヒラヒラとバルトに手を振った。
バルトはそれを床へ座った状態のままに見上げ、応えるように軽く振り返した。
カッカッ....カッ。
そして遠ざかる足音。
部屋の中は再び、バルトとアスラだけになる。