蒼の王様、紅の盗賊







「.......少し、眠ろう」



シンッと静寂な二人だけの部屋の中でバルトは誰に言うでもなく呟くと、彼は近くにあった薄い布を自分の方へと手繰り寄せた。




フワッ。

そしてその布に包まるように背中から掛ける。
だが布が思いの外小さくて、覆い尽くせなくてちょっとはみ出るバルトの背中。


後ろに目をやりそんな様子をチラリと見ると、まぁいいかと彼は床に座ったままアスラの眠るベッドの淵によそりかかる。
ベッドは少しキシッと音を立てたが、それきり静かになった。





そしてそのまま彼は目を閉じ、ベッドに雪崩るように身を委ねた。
感じるのはベッドの微かな柔らかさと、アスラの存在。

バルトはそんなアスラにしっかり寄り添うように彼女のことを想いながら、暫しの眠りについた。







 
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