蒼の王様、紅の盗賊
〜2〜







しっとりとした夜の闇。
外気の冷たさと共に、身体に纏わり付いて離れない。


そんな中を歩くのはバルト達の居る離れを後にしたレイアで、彼女の薄紫色の髪が月の光の粒子を集めて空間にちりばめる。








「団長ったら、まだあそこに居るのかしら?」



バルト達の元を後にし自室に戻ろうと思っていたレイア。

だが彼女は自分の隣の部屋.....つまりクロアの部屋から人の気配が感じられないことに気が付いて、彼を捜すべく外へと出た。
居場所はおそらく先程と同じあの場所。まだ月でも見て佇んでいるのだろう。



外気の温度は低い。
もしもあんな所でうとうと寝てしまったら、風邪を引く。
だから放っておくことも出来なくて、一枚の毛布を片手にレイアは彼の元へと歩いた。










「団長......」



細い渡り廊下から広い空間に差し掛かり、そこに居るはずの人を呼ぶ。
だけれどその空間に入った瞬間に感じた異様な程の静けさに、レイアの発したその声は消えていく。



単なる静けさだけでない。
何かこの空間だけ他の空間とは隔離されているように錯覚させる、不思議な雰囲気。

そしてそれは、先程と同じ寸断された柱の残骸の上で佇むクロアその人を中心に形成されていた。





彼は瞑想に浸るように目を閉じピクリとも動かない。






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