蒼の王様、紅の盗賊
「シュリ様、そろそろお時間です。
準備はよろしいですか?」
「え、もう時間?」
自分の中では、ほんの10分くらいだったつもりが、実際は結構な時間が過ぎていたらしい。
時計を見ると、式典が始まる五分前を針が指していた。
「今、行くよ!」
シュリは、そんな驚きと共にそう答えると窓から名残惜しそうに離れ、ノックされた扉を開いた。
「───さぁ、国王がお待ちかねですわ。シュリ様。
参りましょう」
「うん!」
シュリはそう元気良く言うと、そのまま父と自分を祝いに来た大勢の人が居るはずの広間へと走っていった。
─────バンッ。
勢いよく扉を開けた先。
その先に待っていたのは、シュリの想像していた笑顔が満ちた温かい場所。
.....ではない。
そこに重く腰を据えていたのは
笑顔も凍るような、冷たい....現実だった。