蒼の王様、紅の盗賊








今考えれば、心が腐っている。

だがこの時は心の底から、そんなことを真面目に考えていた。






衣装部屋の狭苦しい空間で苦痛の時を幾らか耐えた。


..........。
やがて外から聞こえてきた音や人のざわめきが徐々に退いていく。

どのくらい時間が経ったのかは分からなかったが、もうそろそろ祝宴はお開きなのだろうと察した俺は心躍らせる。










.............。

それからまた暫く経って、外は完全に静まり返った。
それは同時に俺達の仕事の始まりを合図していた。




俺は衣装部屋から音も立てずに飛び出す。

飛び出した部屋。
そこは薄暗くて誰も居ない。


欲に塗れた俺は愛用する短剣を握り、部屋の扉を思いっ切り蹴破った。
バキバキッと嫌な音を張り上げて扉は大破した。


そんな音に気が付き、駆け付けてくる城の衛兵。
侵入者を告げる警笛が鳴り響く。




俺はそんな衛兵達を躊躇い無く殺した。

そんな俺の行動を皮切りに、城の中で俺と同じように身を潜めていた仲間達が沸き上がるように出てくる。






その後の城の中はもう惨劇だ。

城の中に沸き出た俺達は城の財宝や金目の物を片っ端から漁り、やりたい放題城中を壊し回る。
そして俺達は会う者全てを殺してやった。


城に居た者は何の容赦も無く、皆殺しにした。
衛兵も従者も、相手が女子供でも関係無かった。

城の中は、ほんの数刻で血に染め上げられた。






あとこの城に残るは俺達と、王と王妃。
そして今日不幸にも誕生を祝われた王女だけ。

.......だがきっともうその命も尽きる頃だろう。



王達はこの城に忍び込み信頼関係を築いた仲間が、その信頼を王達の前で粉々に砕き始末してくれる手筈だ。

もう盗むものは粗方盗んでやったし、もう殺す相手も居ない。
王達が死ねばもうこの仕事は終わりだった。







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