蒼の王様、紅の盗賊
バンッ。
俺は本当の意味で静かになった城の中を縦横無尽に歩き、広間の扉を勢い良く開けた。
別にちゃんと仲間が王達を殺せたかが心配だった訳じゃない。
仲間は俺と一番の古い仲で腕も確かな奴で、その点の心配などは微塵も無かった。
ただ俺は見に来ただけだった。
下らぬ祝宴に浮かれ隙を突かれ、たかが盗賊に自らの城を攻めいられ堕ちた馬鹿な王の苦しみに悶える姿を。その死に顔を。
この目で見て、笑ってやろうと思っただけだった。
案の定、扉を開けた先ではもう仲間が仕事を終わらせた所。
血に塗れた広間。
血飛沫に染められた白いカーテン。
もう動かなくなった王と王妃。
そう、扉の先にあったのはそんな想像通りの光景。
そんな光景を満足げに見る俺に、仲間は「遅かったから殺ってしまった」と無表情で平謝りをした。
その仲間の手には、血塗れでぐったりとした小さな女の子。
きっと、王女なのだろうと思った。
もう片方の手には鉄臭い変色した剣。
仕事は、見事に終わった。
―――ドサッ。
仲間も今回の仕事の終わりを悟ると、手にしてした王女らしき女の子の身体をまるでゴミを捨てるかのように投げ捨てる。
先に行くとも言わず横を通り過ぎる仲間を横目で見送り、俺は広間の奥へと進んだ。
カツンッ。
ピチャンッ。
靴の音と床に溜まった血だまりを踏む音が響いた。
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