蒼の王様、紅の盗賊





「レイア....アスラの様子はどうだ?」



仲間を振り返り聞く。






「まだ目を覚まさないわ。
今はバルトが見ているところよ」



「そうか。
って、ということは二人きりか?」



「あら、心配しなくても大丈夫よ。
バルトにあの子を襲う勇気も根性も無いわ?フフッ、そもそもバルトの頭じゃそんなことも考え付かないわね。
それにしてもそんな心配するなんて、まるで父親ね?」



「なっ.....別にそんな心配はしていない」



「あらそう?」




見透かしたようにフフッと笑う声に不覚ながら少しだけ顔が熱くなる。

確かに。
自分が一瞬でも思った余計な心配事はまるで娘を心配する父親のよう。
全く自分の変わり様には驚くばかりだ。








「団長も少しは休みなさいね?
もう若くはないんだから」



「若くはないは余計だ」



「フフッ、じゃあ私はちょっと二人の様子を見てくるわ?
それじゃあね」




......。
遠ざかる靴音。
シンッと静まり返るその場に、一つ溜め息を落とす。

ッ。
見れば先程よりも空が明るくなっていた。






「部屋に戻るか」



トンッと軽やかに地面に降りて独り言を呟くと明け始めた空を見つめながら自室へと向かっていった。





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