蒼の王様、紅の盗賊







「何だ?」



「先程のお話の続きに御座います。
奴等の組織網は広くそこらの低頭な盗人輩も盗賊団の配下にあります。

......街には我等の手から逃れたそんな輩がいつの日か反旗を翻そうと溜まり蔓延る場所が何処かにございます。
云わば隠れたこの国の汚点。悪の巣窟」



「この国にまだそんな場所が?
何故だ!?自警団は何をしていたっ!?」



「奴等は捕まえても捕まえても沸いて出てくる蛆虫のような存在。
あのような組織は上を潰さぬ限り無くなりはしないのですよ。
根本から絶たねば幾らシュリ様が尽力されようと完全に撲滅することは出来ぬのです」



「ッ」




「........ですから私はその根本を絶とう、そう考えております。
街に蔓延る輩共の中に潜入をし大元を探り突き止める―――奴等に吐かせるのです、逃亡した紅の盗賊とその仲間の居場所を。

居場所か判れば一網打尽に。
正義の名の元に奴等を処刑台へ、そしてこの国にこの世界に平和と安泰をもたらすのです」



「潜入、だと?
奴等の中に身を焼べると言うのか?」



「その通りにございます。
襲撃し吐かせるより、奴等の信用を得て組織に入り込み核心部を突くのが得策かと」



「だがそれでも!
例え低頭で下っ派の輩と言えど悪は悪、見逃した上にこの国にのさばらせる訳にはいかない!
悪は即刻排除しそして紅の盗賊の居場所も.......」



「御言葉ながらシュリ様、貴方のお考えは少々甘いところが御座います。
感情に流され事を急くより、感情を隠し好機を待つのもまた貴方の望む世界への道ですぞ」




シュリは顔をしかめた。





「........奴等の中へと潜入しその大元を辿れば判るかもしれません。
相手は極悪非道の犯罪集団。
きっとその中に貴方が憎しんで止まない者が―――シュリ様のご両親である前王と王妃様の命を奪ったその者が居るやもしれません」



「っ!」






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