蒼の王様、紅の盗賊
〜1〜
「────。
皆、居るか?」
蒼の王様と呼ばれる王が治める国の隣。
そこにはかつて栄えた国があった。
だが兵の裏切りと賊の襲撃により王家の血が途絶え、栄え発展してきたこの国は十年程前に亡国となった。
――――。
静寂なる城。
そこにはもうかつての繁栄の面影は何も無い。
そんな亡国の城に、凛とした声が月夜の冷たい空気を震わす。
「はいはーい!
クロアのおっさん」
そして凛としたその声に答えるのは、何とも緊張感のないヘラッとした男の声。
「.........その呼び方は止めろと言っているだろう、バルト。
俺はこう見えてもまだ若いんだ―――よっこらしょっと」
その言葉にハァッと溜め息をつき、クロアと呼ばれた男は腰掛けていた椅子から、スッと立ち上がった。
「あら。よっこらっしょっなんて言ってる時点でもう若くはないわよ、団長?」
そんな様子に今度は女の声が割り込む。
少し笑いを含んだような声が、耳をくすぐる。
「レイア、お前も居たのか」
割り込んできたその声。
クロアとバルト二人の男が振り返る。
「居たのかなんて失礼じゃないかしら、クロア団長?
貴方が私達のことを集めたの忘れたのかしら?」
ッ。
二人が振り返ったその先には、薄い紫色の髪を夜風になびかせた女。
彼女はウフフと笑い二人を見ていた。
.
「────。
皆、居るか?」
蒼の王様と呼ばれる王が治める国の隣。
そこにはかつて栄えた国があった。
だが兵の裏切りと賊の襲撃により王家の血が途絶え、栄え発展してきたこの国は十年程前に亡国となった。
――――。
静寂なる城。
そこにはもうかつての繁栄の面影は何も無い。
そんな亡国の城に、凛とした声が月夜の冷たい空気を震わす。
「はいはーい!
クロアのおっさん」
そして凛としたその声に答えるのは、何とも緊張感のないヘラッとした男の声。
「.........その呼び方は止めろと言っているだろう、バルト。
俺はこう見えてもまだ若いんだ―――よっこらしょっと」
その言葉にハァッと溜め息をつき、クロアと呼ばれた男は腰掛けていた椅子から、スッと立ち上がった。
「あら。よっこらっしょっなんて言ってる時点でもう若くはないわよ、団長?」
そんな様子に今度は女の声が割り込む。
少し笑いを含んだような声が、耳をくすぐる。
「レイア、お前も居たのか」
割り込んできたその声。
クロアとバルト二人の男が振り返る。
「居たのかなんて失礼じゃないかしら、クロア団長?
貴方が私達のことを集めたの忘れたのかしら?」
ッ。
二人が振り返ったその先には、薄い紫色の髪を夜風になびかせた女。
彼女はウフフと笑い二人を見ていた。
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