蒼の王様、紅の盗賊
 
 

 
 
 
「そうだよ、おっちゃん。
俺も気になってたんだ。今回は....何の為に呼ばれたんだ?」



バルトも続けて、クロアに問う。





「だから俺は、おっちゃんじゃなっ───まぁいい。

......今日集まってもらったのは、他でもない」




クロアはバルトのおっちゃん発言に異論を述べつつ、否定するのも何だか面倒臭くなって途中で話を本題へと戻した。






「我々───凰翼(おうよく)の盗賊団の....久々の任務のためだ」




凰翼の盗賊団。
それは、此処に居る彼等の正体。

そう。
今、此処に居る三人は盗賊。
しかも盗賊団を率いる中心を担う者逹。


そして此処に居る、バルト曰くおっちゃんのクロアがこの盗賊団の団長である。






「あら、本当に久々の任務ね」




「本当だな!久々の任務....何か血が騒ぐぜ♪」




そんな団長、クロアの言葉に二人は口々に答える。
レイアは冷静に。
バルトは、それはもう....楽しそうに。

そんな対称的な二人の反応に、クロアは思わず苦笑いを浮かべ言葉を続ける。







「───今回の任務は、隣の国にある貧困層の救済。
あの国は年々に貧富の差が広まり取り返しのつかない域まで来ている。
早急に手を打たねば罪の無い貧しい人々に死人が出る」



「....お隣ってことは、あの蒼の王様が居る国かしら?」



その言葉に、少し考え込むような仕草を見せてレイアは尋ねる。





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