蒼の王様、紅の盗賊
〜1〜
「───そっちへ逃げたぞッ!捕まえろ!」
夜の街。
路地裏。
静寂なはずのこの場所に、荒げる人の声と無数の足音が響き渡っていた。
「───ふん。
あんたらなんかに捕まるかよ?」
荒々しい足音と激しく行き交う人の影。
そんな忙しない人達を横目に、路地裏の更に小路の陰でフッと嘲るように笑う一人の者が居る。
........。
外套を身に纏いフードを深くまで被り顔はよく見えない。
だが、うっすら覗くフードの下には燃えるような紅い瞳。
そして微かに釣り上げられた口元が在った。
「くそッ!
あいつ、何処行きやがった!」
そう声を上げる一人の若い男。
その周辺には、多数の男の姿。
男達は皆同じ服に身を包み、手には差し込む月明かりに銀色の煌めきを放つ剣が握られている。
そう。彼等は軍隊。
この国の王の命を受けて、国を守る者達。
彼等はこの国の"悪"というものの存在を片っ端から斬り捨て撲滅を謀るいわば"正義の味方"。
――――。ッ。
そして今日も"悪"を捕らえるために、こうして此処に居る。
「───ッ!
もう一度あっちを捜すぞ!」
「はっ!」
タッタッタッタタッ───。
男の威勢のいい声と共に、再び足音が響きそして遠ざかる。
.
「───そっちへ逃げたぞッ!捕まえろ!」
夜の街。
路地裏。
静寂なはずのこの場所に、荒げる人の声と無数の足音が響き渡っていた。
「───ふん。
あんたらなんかに捕まるかよ?」
荒々しい足音と激しく行き交う人の影。
そんな忙しない人達を横目に、路地裏の更に小路の陰でフッと嘲るように笑う一人の者が居る。
........。
外套を身に纏いフードを深くまで被り顔はよく見えない。
だが、うっすら覗くフードの下には燃えるような紅い瞳。
そして微かに釣り上げられた口元が在った。
「くそッ!
あいつ、何処行きやがった!」
そう声を上げる一人の若い男。
その周辺には、多数の男の姿。
男達は皆同じ服に身を包み、手には差し込む月明かりに銀色の煌めきを放つ剣が握られている。
そう。彼等は軍隊。
この国の王の命を受けて、国を守る者達。
彼等はこの国の"悪"というものの存在を片っ端から斬り捨て撲滅を謀るいわば"正義の味方"。
――――。ッ。
そして今日も"悪"を捕らえるために、こうして此処に居る。
「───ッ!
もう一度あっちを捜すぞ!」
「はっ!」
タッタッタッタタッ───。
男の威勢のいい声と共に、再び足音が響きそして遠ざかる。
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