蒼の王様、紅の盗賊
 
 


 
 
 
此処でアスラの気持ちを揺るがすような言葉を
容易な気持ちで掛けてしまったなら自分もアスラもより深い哀しみに苛まれるような気がして、ジルはそれ以上の言葉を賭けることが出来なかった。








「───さぁ、そろそろ私は街に出る。
あの子たちのためにも....頑張って仕事しないと」



少しだけ陰が差した二人の間に流れる空気。

アスラは区切りを付けるかのように一つ息をつくと、近くに掛けてあったマントを手に取り羽織って背を向ける。









「あぁ....気を付けるんじゃぞ」



「あぁ、分かってる。
じゃあ───いってきます」 




アスラは軽く振り向きフッと笑うとマントを翻す。
そしてそのまま手を振り、街へと向かっていった。






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