蒼の王様、紅の盗賊
〜4〜








「おい、ガキども!
よくもこの俺様の店で盗みを働きやがったな?
自警団の奴に突き出してやる、覚悟しな!」



人集りの中、中心にいる果物を売っていたあの男が罵声を浴びせる。

その罵声の先には、肩震わす小さな影。






(───!
何で....何であの子たちが此処に居るんだ!?)



人集りを抜けその先頭へと立ったアスラは男の前で小さな身体を震わせる見知った姿に我が目を疑った。


騒ぎの中心。
そこに居たのは、ジルたちが暮らす廃墟に住む
あの子供たち。




そんな予想もしない事態を前に、アスラは直ぐ様子供たちへと駆け寄る。

そして子供たちを掴む男の手を掴んだ。






「あぁ?
何だお前は.....って、あんたさっきのお客さんじゃねぇか!?」




ついさっきまでとは打って違い、非常に機嫌が悪い男は自分の手を掴むアスラを睨み付ける。


そして自分の手を掴んでいるのが先ほどの男曰く『いい客』であることに気が付き驚いたようにアスラを見た。







「こんな子供逹に良い歳した大人が手を上げるなんて何事だい?
一体、何があったっていうんだ?」



アスラは驚く男の手を掴んだままに訊ねる。





「いや、このガキどもが俺の店の物を盗もうとしたんでね。
取り押さえたとこですよ」



男はアスラから子供たちに目を移して忌々しそうに言った。






 

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