蒼の王様、紅の盗賊
男の言葉にアスラも子供たちへと目をやる。
子供たちは恐怖から、動けずにただ震えていて
アスラに気が付いてない。
ッ。
子供たちの手には一つの林檎。
震えるその手に握られた林檎は今にも落ちそうだ。
「......」
アスラはマントの下で、眉を潜めるとそのまま子供たちの前へと移動しそこでしゃがみ込んだ。
子供たちは、急に近づいてきた影に身体をより一層震わす。
「───少し話をさせてくれ。
こんな小さな子供がそんなことをする理由が聞きたい」
アスラはそう言って男の方を振り替える。
男はそのアスラの視線に肯定の意を示した。
それを確認した、アスラは子供たちに視線を戻し一つ息をつくと口を開いた。
「........。
お前たち、何でこんな所に居る?」
小さくささやくように問うアスラ。
その声に震えていた子供たちは顔を上げる。
「....アスラぁ」
泣き枯れた声がアスラの名を呼ぶ。
目には涙。
顔は恐怖で真っ青の子供たちに僅かな光が灯る。
「いいから、答えるんだ。
どうしてこんな所に居る?」
そんな子供たちの自分の名を呼ぶ声を、アスラは軽く受け流し続けてもう一度訊ねる。
「.....アスラが...アスラが僕らと遊んでくれないから、僕ら淋しくて....。
だから、アスラの後を追いかけてね....びっくりさせようと....思ったの」