蒼の王様、紅の盗賊
 
 
 
 
 
 
「申し訳ありません。
早急にお伝えしたきことがありましたので.....」



レストと呼ばれた隻眼の男は、もう一度礼をするとシュリを見た。




レスト。

それはシュリが、唯一と言っていい程に信頼している男。


シュリが結成を命じた悪を討伐するための組織、自警団の団長。





レストは、シュリが幼い頃からずっとこの城に仕えていた。


昔は、よくシュリの遊び相手になってくれて
今は、剣を習いたいと言い出したシュリに剣を教えてくれている。




三年前、親を亡くしたシュリにとってレストは
誰よりも、信じられる存在だった────。







「何だ、その早急な用件っていうのは?」




シュリは、その信頼出来る男レストの言葉にそう問い返す。






「────はい。では申し上げます。

.....たった今、城下にて盗賊を一人捕らえました」




「───何、盗賊だと?」





「....はい。
しかも、その盗賊は────紅い瞳なのです。シュリ様」




紅い瞳の盗賊。

そう聞き、シュリの頭に思い浮かぶのは一つしかなかった。






「最近、この国を揺るがしてる.....あの紅の盗賊か!?」




紅の盗賊。

誰が付けたかも分からないが、そう城内で言われている盗賊が居る。



マントを被った紅い瞳の盗賊。

最近になって現れるようになった、その盗賊の名が
シュリの頭に一瞬で、浮かんだ。





 
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