蒼の王様、紅の盗賊
〜1〜
此処は牢獄。
陽の光が届かぬ薄暗い鉄格子の中。
唯一光が差し込むのは遥か高くにある小さな窓だけ。
そこから差し込む弱々しい光が、アスラの居るこの地下牢での唯一の燈だった。
「────。
薄気味悪いな」
アスラはそんな薄暗く冷たい無機質な空間中、後ろで両手を拘束されたままの状態でうんざりしたように呟いた。
今アスラが居るのは蒼の王様が治める国の地下の牢獄の中。
先程の一件。
街で子供たちを庇って捕らえられた紅の盗賊ことアスラは、様々な事情を洗い浚い聞かれそれに尽く黙秘を続け子供たちに危害が及ばないようにした。
殴られようが蹴られようが何も喋らなかった。
.......。
その結果がこれ。
もしも何かを話していたところでこの今の状況に一切変わりはなかったかもしれないが。
「さて....此処から抜け出す手立てを考えなきゃな」
アスラはハァと溜め息をつくと自由の聞かない両手を忌々しげに見る。
ッ。
痛々しい。
キツく縛られた両手の手首には縄が食い込み、彼女の白くか細い腕に紅い筋を付けている。
「まずは、この縄をどうにかしないと」
グッ。ッ。
アスラは縄を解こうと手を右に左に動かす。
だが、相手もプロである。
そう簡単に外れるわけもなく一層に食い込むばかり。
自分の思うとおりに縄が解けないアスラは跋が悪そうに舌打ちをする。
「この縄、本当に邪魔だわ。
この縄が解けなきゃ、何にも出来ないじゃない。
鉄格子を蹴破るのもこの壁をよじ登るのも出来ない」
そう。
逃げ出そうにも行動を起こそうにも身動きが取れないことには何にも出来ない。
早く、早く何とかしなければ何もしない間に全てが終わってしまう。
それこそ取り返しがつかないことになってしまう。
此処は牢獄。
陽の光が届かぬ薄暗い鉄格子の中。
唯一光が差し込むのは遥か高くにある小さな窓だけ。
そこから差し込む弱々しい光が、アスラの居るこの地下牢での唯一の燈だった。
「────。
薄気味悪いな」
アスラはそんな薄暗く冷たい無機質な空間中、後ろで両手を拘束されたままの状態でうんざりしたように呟いた。
今アスラが居るのは蒼の王様が治める国の地下の牢獄の中。
先程の一件。
街で子供たちを庇って捕らえられた紅の盗賊ことアスラは、様々な事情を洗い浚い聞かれそれに尽く黙秘を続け子供たちに危害が及ばないようにした。
殴られようが蹴られようが何も喋らなかった。
.......。
その結果がこれ。
もしも何かを話していたところでこの今の状況に一切変わりはなかったかもしれないが。
「さて....此処から抜け出す手立てを考えなきゃな」
アスラはハァと溜め息をつくと自由の聞かない両手を忌々しげに見る。
ッ。
痛々しい。
キツく縛られた両手の手首には縄が食い込み、彼女の白くか細い腕に紅い筋を付けている。
「まずは、この縄をどうにかしないと」
グッ。ッ。
アスラは縄を解こうと手を右に左に動かす。
だが、相手もプロである。
そう簡単に外れるわけもなく一層に食い込むばかり。
自分の思うとおりに縄が解けないアスラは跋が悪そうに舌打ちをする。
「この縄、本当に邪魔だわ。
この縄が解けなきゃ、何にも出来ないじゃない。
鉄格子を蹴破るのもこの壁をよじ登るのも出来ない」
そう。
逃げ出そうにも行動を起こそうにも身動きが取れないことには何にも出来ない。
早く、早く何とかしなければ何もしない間に全てが終わってしまう。
それこそ取り返しがつかないことになってしまう。