蒼の王様、紅の盗賊
(───私を襲うでもする気か?
.......いや、それは無いな。
そんなことをすれば、きっとそいつの首が飛ぶ。
..........普通の見回りじゃないのか?)
気にしないよう努力した。
だが、どうしても気になった。
ッ。
あぁ、もう駄目だ。
堪え切れずに、閉じていた瞳を開き目の前を確認する。
────。
ゾクッ。
目を開けた瞬間、寒気がした。
身体が一瞬だけだが硬直した。
(.....アイツは...)
その寒気の原因は、目を開けた共に視界へ入っていた人の姿。
彼女に視線を注ぐ張本人。
銀色の長い髪。蒼い瞳。
歳は恐らくアスラと同じくらいだった。
少なくともアスラより背は高く、顔は整っていて思わず見惚れる程。
男にしておくのには勿体無いくらい美しい少年。青年。
だが、悪寒の原因はその美しさではない。
冷酷に煌めく蒼い瞳の輝きが周りを寄せ付けない程の威圧感、そして殺気。
それこそがこの寒気と悪寒の原因。
その青年は、アスラと視線がぶつかると
冷酷な瞳で見下ろしながら口を開く。
「────。
お前が最近この国を荒らしている盗賊か」
牢の中に響くその青年の声はやけに低くアスラの鼓膜を震わせた。