蒼の王様、紅の盗賊
〜2〜









「────あんた....誰だ?」




凍てつく空間。
アスラは寒気で震える身体を抑え込めアスラは口を開いた。







「フッ。世間知らずな悪党だな。
私を───この国の王を知らないとはな」




冷酷な瞳の青年....つまりシュリは、牢の中のアスラを見下ろしながら口元に冷笑を浮かべながら言う。






「────。
王....あんたが?」




アスラは驚き目を見開く。
蒼の王様。
冷酷な蒼い瞳を持って悪を何より憎む王様。

そう、噂には聞いていた。


そんな噂にアスラは厳格な大人の王様を想像していたのだ。
.........。
だが実際、今目の前に居るのは自分と同じくらいの青年。まだ子供だ。

イメージと実際のギャップに少し動揺した。









「.....お前は、身分の違いを知った今でも礼儀というものを知らないのか?」



シュリは尚も冷酷な視線を送り続ける。
一方のアスラは見下したその口調にムッとした表情で睨み返す。






「私は盗賊なんでね。
悪いが、あんたに忠誠なんて誓っちゃいない。
だからあんたが王だろうが礼儀を気にする義務はない」



反抗するような不敵な笑みを浮かべて言い放つ。

殺気を纏う視線を未だアスラに向けているシュリ。
この状況で反抗心が生まれるなんて、彼女には相当の度胸が据わっている。





 
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