蒼の王様、紅の盗賊
〜2〜 




アスラが、城の牢の中で蒼の王様と語り


ジルが、信じたくない現実にただ立ちすくんでいる頃



また一人
馬に乗り、砂色の外套を身に纏った男が
この、蒼の王様が治める地へと足を踏み入れた。








「───ちょっと早く着き過ぎちまったかな?」



砂色の外套を身に纏ったその男は
ひたすらに真っ直ぐ続く国境際の小路に、立ち止まり
困ったように頭を掻いた。



困るのも無理はなかった。

本当なら、今日の夜に着くはずだった場所に彼は
今、この白昼に居るのだから。






「んー....どうするかなぁ」



早く着き過ぎてしまった、砂色の外套の男は

『うーん....』と唸り声を上げて、考え込むように
自分を乗せている馬の頭に頬杖をする。





───ヒヒーンッ。


すると、自分の頭で頬杖されたのが不満だったのか
男を乗せていた馬は、男を振り落とそうと

体を上下に揺さ振る。






「────うわッ!?」



そして案の定、振り落とされた男は地面へ着地した。

それも....顔面着地だ。






「.....ってぇ───」



地面へと落とされた男は、思わず声を上げる。

その思わず出た言葉通り、かなり痛そうだ。
顔は赤く、土砂に塗れていた。



そして地面に振り落とされた男は
その顔で、自分を振り落とした馬を見上げる。





 
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