隣のマキオ
ピンポン、ピンポン、ピンポン♪

朝からけたたましくなるインターフォンの音で目が覚めた。

「ふぁーい」

寝ぼけたままドアに向かうと「隣の中野上だけど」とドアの向こうで声がしている。

えー?また何?

陶子は、仕方なくドアを開けた。

「俺の!俺の大事な荷物がない!」

マキオは、少し焦った顔をして陶子の部屋を覗き込んだ。

「え?荷物?」

陶子は、少し考えてから、最後のダンボール箱を思いだした。

「あー、確かひとつ中身見てないのが」

そう言った途端、マキオは、ズカズカと部屋に上がり込んできた。

「ちょっと!」

陶子が止める間もなくマキオは、リビングに入ってゆく。

「どれ?!」

「あ、えーと」

陶子は、くるりと部屋を見渡した。
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