隣のマキオ
コンビニで立ち読みしながら、マンションのほうを盗み見た。

マキオは、そのまま外でタバコを吸っている。

なんだかイライラしているように見えた。

彼女と上手くいってないのかな…

せっかく同棲したのに、いきなり喧嘩だなんて。

もしかして、こないだの若い子連れこんだのがバレたんじゃ!

陶子がまた妄想していると、マキオがこちらのほうに歩いてきた。

げ!

陶子は、焦ってパン売り場に移動する。

なんだかパンだけでは、申し訳なく思い、少し高めのお惣菜なんかをカゴにいくつか入れた。

会計をしていると「あれ?トーコちゃん?」と声をかけられた。

「あ、あー、こんばんわ」

陶子は、盗み見ていた気まずさで、目を合わさずに言った。

「俺も晩飯買おっと。ちょっと待っててよ。一緒のとこに帰るんだし」

意味深な言い方をされて、ドキドキしてしまう。

「あー、うん。わかった」

世の中の男性が美人に弱いことに散々文句を言ってきたけれど。
自分もこんなにイケメンに弱い。

マキオに頼まれたら、100万くらい貸してしまいそうな自分が怖くなった。
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