隣のマキオ
掃除をしながら、思い出に浸っていると、涙が溢れた。

ポタリと床に落ちた雫を雑巾で何度となく拭く。

ひととおり泣いたら、なんだかスッキリとした。

「はあ〜、もう泣くの終わり!」

自分に言い聞かせるように言うと、ピンポーン♪とインターフォンが鳴った。

「宮前さーん!ヤマネコ引っ越し社ですー!」

ドアの向こうで元気な声がして、陶子は、慌てて顔を洗い「はーい!」とドアを開けた。
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