隣のマキオ
「すいません、ちょっと今日、お隣も引っ越しでして、、時間、ずらす予定だったんですが、どうしても同じ時間になってしまいまして」

作業着姿の人の良さそうなおじさんにぺこぺこ頭を下げられた。

「ああ、そうなんですね。うちは、大丈夫ですよ」

陶子は、ちらりと隣を見た。

ダンボール箱がいくつか玄関前に積み上げられている。

「間違いのないように気をつけますが、万が一、荷物が違っていたら、すぐにご連絡くださいね」

おじさんは、またぺこぺこと頭を下げる。

「わかりました」

陶子は、そう深く考えずに、そのまま受け入れた。
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