ひとりじゃないよ
ひなた
「いい加減にしてっ!本当に最低なひとね!」
「うるさいな、大体お前が悪いんだろう!」
「なんですって!?」
いつもの朝。
やっぱり今日も、同じだ。
無言でリビングの扉を開けても、両親の喧嘩は止まらない。
「おはよう」
その声は、小さくて彼らには届かない。
静かに朝食の準備をして、静かに食べる。
「ごちそうさまでした」
また小さな声でそう言って、静かに皿を洗う。
「私は家事と仕事を両立させてるんです!」
「ふん、言い訳か」
玄関に向かうまで、両親には何も言われなかった。
「いってきます」
今日もわたしはひとりで家を出た。