【完】『大器晩成』
ようやく。
自分の最寄りの駅から一本で秋葉原まで行けるのが分かった頃、初めて眞姫は休みの日に秋葉原まで出てみた。
「電気屋ばっかりやから、日本橋(にっぽんばし)みたいな感じなんかな」
という軽い気持ちで秋葉原の駅を出ると、まるで違う光景に眞姫は戸惑った。
そのとき、である。
「お姉さま、カレーいかがですか?」
とクーポンを目の前に差し出したメイド姿の女の子がある。
胸の名札にはくっきり、
「あずにゃん」
とある。
「あっ…お姉さん、どこかで見たことある」
メイドのあずにゃんは気づいたらしい。
「…グラビアの眞姫ちゃん?」
どういう訳か、グラビアをしていたが、眞姫には男性のファンより女性のファンが多かった。