【完】『大器晩成』
したがって。
梓が言うような短時間そこらで結果が出るようなものではなく、毎日のたゆまぬ小さな積み重ねが、眞姫を島ノ内でナンバーワンにした…ともいえる。
それだけに。
すぐに結果を出さなければならないという梓の気持ちも、眞姫は分からないではなかったが、
「みんなは分からないけど、アイドルに限らず芸能人って使い捨てだからさ」
などと、まだ二十歳そこそこなはずなのに醒眼を持つ梓を見てると、
「アイドルって厳しいなぁ」
というのが、眞姫の偽らざる感想のようなものであった。