【完】『大器晩成』
もっとも。
使い捨てという点では、眞姫がいるグラビアモデルの世界も変わらないように眞姫には思われたらしい。
何度も雑誌に呼んで載せてもらえるようになるのは一部の売れっ子であった。
どんなに眞姫が頑張ったところで、ミナミでナンバーワンを取った過去など、そこでは役に立たない場面もある。
次第に水着の生地は小さくなり、下手をすると泡だの指だのでかろうじて乳輪を隠す程度の過激なポーズを撮らされる局面すらある。
それでも。
眞姫は昼間のスナックで酔っ払いに尻を触られたり…とある程度の修羅場は潜り抜けていたので、まだ平気であった。
が。
事務所の後輩の子の中にはそれで現場で泣き出してしまい、仕事にならず事務所を辞めてしまう女の子もいたりした。
「ま、こんなので興奮するんやから、男ってチョロいもんやって」
などと強気でうそぶいてはみせるものの、眞姫も梓の焦燥が手に取るように分かっていたからこそ、どこか裏側では、
「うち、何かの職人なったほうが良かったんかな」
などと頭によぎる日も、ないではなかった。