【完】『大器晩成』

数日後。

事務所にファンレターを受け取りに来た眞姫に、

「眞姫ちゃん、ちょっといい?」

と、珍しく貴島セイラが呼び止めた。

「セイラ先輩、おはようございます」

眞姫は挨拶をした。

「こないだのロケ、ピンチヒッターお疲れ様」

「こちらこそ、いい勉強になりました」

眞姫は頭を深々と下げた。

こういう律儀なところが、セイラは気に入っていたようで、

「うぅん、うちが社長に眞姫ちゃんに頼んでって言ったからさ」

眞姫以上にハッキリ物を言うセイラらしい話だと内心で眞姫は思ったらしい。

「でさ、ちょっと聞きたいんだけど」

セイラは顔を近づけた。

「桜岡麟太郎って、眞姫はどう思う?」

「どうって言われても」

海外で注目されている陶芸家というぐらいの感懐しかない。

「そっかあ」

セイラは苦笑いを浮かべた。



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