【完】『大器晩成』
眞姫はキョトンとした顔をした。
「まぁ、訊いた私がちょっとバカだったかな。…実はね」
と耳元にセイラは顔を寄せると、
「…麟太郎、私の元カレなんだよね」
思わず瞠目して眞姫はセイラの顔を見た。
「…ちょっと、目の前でそんなビックリした顔されたら」
笑っちゃうじゃない、とセイラは笑い出した。
「ゴメンね眞姫、どこも面白くなんかないし、笑うような話じゃないよね」
でもね、とセイラは、
「いくら仕事とはいえ、麟太郎と会うのが何となく…ね。だから、生放送のオファーがタイミングよく来たから、代わってもらったってことなんだよね」
ゴメンね押し付けちゃって、とセイラは拝む仕草をして謝った。
「…セイラ先輩って、そういうとこデリケートですね」
そういうと眞姫はクスクス笑った。
「うちなんかやと、シレッとした顔で平気で仕事しちゃいますけど、きっとセイラ先輩は気まずかったんですよね」
「まぁね」
「…何かかわいいなぁ」
「こらっ」
軽めにセイラは言った。