【完】『大器晩成』
◇9◇
しばらく、過ぎた。
マネージャーが、
「眞姫ちゃん、この先って何か目標って決めてある?」
といきなり訊いてきた。
「もしかして…?」
胸中、眞姫は梓の言葉を思い出していた。
例の、
「結果を出さなきゃ辞めるか脱ぐかしかない」
というあれである。
そういえば。
グラビアの仕事が減ってきたことに薄々感付いてはいた。
そこで。
「手に技術をつけてみようかな」
という軽い気持ちで、麟太郎の窯場で陶芸を習ってみようと思い立ったらしい。
横須賀の窯場に行くと、
「久しぶりですね」
クールというより、どこか掴み所のない調子で麟太郎は言った。