【完】『大器晩成』
◇11◇
そんな折も折。
珍しく麟太郎から電話がかかってきた。
「久しぶりです」
眞姫にすれば恩師である。
「そういえば、作品展が今回あるんだけど、出してみる気はないか?」
という内容であった。
「取り敢えず出してみて、自分の実力をはかってみるのも悪くないと思うんだけど」
確かに。
言う通りであろう。
「エントリー、いつまでですか?」
「来月の月末が締め切りになるから、それまでに完成していればおそらく大丈夫でしょう」
という由であった。
「…分かりました。エントリー出来るように頑張ってみます」
それまでほとんど口にして来なかった、やる気が初めて表にあらわれた。