【完】『大器晩成』
マリエは麟太郎の隣に座ると、
「はじめましてー、マリエって呼んでね」
名刺を渡した。
麟太郎は名刺をポケットにしまうと、
「こちらこそ」
と名刺を差し出した。
マリエは名刺を胸元の開いたドレスの、谷間の位置に挟んだ。
「取り敢えず一杯いかが?」
「じゃあ、烏龍茶を」
麟太郎はどうやら下戸らしい。
マリエが手早く注いでグラスを出すと、
「ありがとう」
といい、軽く口をつけた。
「あの…すごく失礼かも知れないけど、出身は?」
「あぁ、生まれは関西ではないです」
あとから聞いたが、どうやら北海道のあたりらしかった。