ハピネスダイエット!~ダイエットしてあなたを振り向かせる!~
「えっと、少しなら。一緒にお昼行く予定だったし」


 ナイスフォロー春ちゃん。私は「そういうことだから」と、戸津に言うと、彼も「わかった」と頷く。

 春ちゃんは先に学食に行っているねとだけ残し、私はいったん椅子に座り、戸津と二人で向き合って話すことになった。


「で、話ってなんです?」


 同級生に対して敬語を使うのもどうかと思うが、私は怖くてため口なんてきけない。私の話し方に違和感を持ったのか、彼は口を開くとこう私に言ってきた。


「ため語で話さないか? 同級生なんだし」


 怖いから無理です、なんて言えず、少しずつ慣れて崩していくからと話し了解を得た。それから本題へと入っていく。


「俺が中学から、親父の都合で別のところに行ったのは知ってるか?」
「知って、ます」


 そう、戸津は小学校を卒業すると、引っ越ししていった。
 
 それを知ったのは中学上がってからだ。私の地元では時々、同じ小学校出身の子と顔を合わせることがある。

 その時偶然、比較的仲の良かった女の子と話が弾み、戸津のことを聞いたのだ。中学受験をして、小学校の人達がどうなったかは細かいことはよく知らないが、こうして情報や噂話は時々得ていた。

 当然だが、戸津以外の男子と道端やお店で会うこともままあり、私はその度に隠れたり、逃げ去ったりしてやり過ごしていた。だが、確かに、戸津に会うことはここ三年間なかった。

 最も苦手としていた人物が目の前から消えたことで、私は心の平常を取り戻し始めていた。だから余計に、私はその後に続く言葉に、めまいを覚えそうになる。
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