興味があるなら恋をしよう−Ⅰ−

策士なのか、藍原。
泣けば何でもありだと、何か解らんが企んだのか？
何にしても、…人のモノになりかけている女と、一緒に居る訳にはいかない。ソフレなんて事はもう通用するか…。一晩一緒に過ごすなんて、もう有り得ないんだ、藍原。

｢藍原、藍原の考えている事も行動も、俺にはさっぱり解らないんだ。
…よく考えろ。
もうそんな事、出来る訳が無いだろ？
藍原が…例え、泣いて、…泣き止めなくても、それを慰める為に一緒に居る事は俺にはもう出来ない。
解るだろ？｣

好きなんだろ？課長の事が。だったら駄目だろ？

｢でも…｣

何が、でも、なんだ。

｢でも一緒に居たいんです｣

…はぁあ。これは、どう取ればいいんだ。
また同じように困惑しないといけないのか？
これから先、ずっと一緒に居たいという事なのか？
一時の気の迷いか？
何かあったのか？
一緒に居たいという根本が解らない。
…課長には行かないつもりか？…それなら理解できる。

…どストレートに聞けばいいのか。課長は止めて、俺の事が好きなのか、って。

…いや、止めておこう。
藍原の事だ。質問に質問で返されそうだ。
ずっと同じやり取りを繰り返すだけだ。…。

…そうだ。

｢藍原、一緒に居たら、何もしないという自信が無い。だから泊める訳にはいかない｣

これでどうだ？
更にこうだ。

｢泣いている藍原を見たら抑止が効かなくて、目茶苦茶に襲ってしまうかも知れない｣

どうだ？
これなら拒否するだろ？

｢…大丈夫です｣