興味があるなら恋をしよう−Ⅰ−
はぁーっ?!何が大丈夫なんだ…。

「坂本さんはそんな人ではありません。それは…嘘です」

…確かに嘘だ。嘘ですよ。はったりですよ?
だったら余計、そこまで言ってる俺の気持ちを察してくれよな。
何故、大丈夫だと言ってまで居ようとする。
もう、何も言わない。
もう、解らん。

「居たいんです。一緒に」

…だから、…。

「…男を甘く見るなよ」

「…そんなんじゃないです…自分でもよく解らないんです。でも、自分の心に素直に従ったら、坂本さんと居たいんです。私だって意味が解りません。だけど居たいんです」

これが最後だとでも言うのか?居なくなるとでも言うのか?
だからって、一晩一緒に居るか?…何でも解らないって言葉で押し通せるとでも…。はぁ。

言葉に、…情にほだされてはいけない。これはよく解らない…そうだ、気の迷いだ。
これ以上は、俺だって本当に抑制が効かなくなってしまう。長く藍原の泣き顔を見ているのは危険だ。課長ととなれば…取り返しのつかない事になるだろ。

「藍原、何かよく解らないモノに流されては駄目だと言っただろ?駄目なものは駄目だ。
藍原がソフレの事を持ち出しても駄目だ。それは通用しない
自分の部屋に帰るんだ。…頼むから、帰ってくれないか…。大丈夫だ。俺が恐くて泣いたのなら、部屋に帰れば何でもなくなる。そうだろ?
眠れないなら課長に連絡しろ。そういう事だ、いいな?」

肩を回し向きを変えられた。
背中に手を当て優しく押された。

「じゃあな、おやすみ。明日、会社でな」

パタン。

あ、坂本さん。私は…何がしたかったのだろう。
でも、一緒に居たかった。
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