興味があるなら恋をしよう−Ⅰ−
濡らしたタオルで藍原の額や首を拭く。冷たいから気持ちいいのだろう。
小さく声をあげた。

…。

駄目だ駄目だ。
こんな時に…。熱に浮かされた顔は見てると妙に色っぽくて…。駄目だ。
散れ~!悪魔ー。


「藍原~?解るか~?」

気を逸らすつもりもあって声を掛けた。

「う、ん、ん…ん。…ぁ…坂本さ、ん?」

「ああ…」

「あぁっ、私、…ごめんなさい、…え?なに?…」

ゆるゆると起き上がろうとするから押さえた。

「大丈夫だ。しんどいだろ、熱がある。よく解らないだろうけど今は寝てろ。
びっくりしたぞ…、朝、ドアが開かないから。
馬鹿だな、何でこんな事…」

俺が閉め出したのは確かだけど。まさかずっと居たとは…。

「あ…私、…ごめんなさい」

「うん…ずっと居て…寝てしまったんだろうな。まあ、今はいいから。熱はあるんだけど、薬はまだ飲ませて無いんだ。
気分はどうだ?悪くないか?頭は?どうだ?痛くないか?喉はどうだ?」

「はい、熱いですけど気分は悪くないです、大丈夫です」

「…うん。じゃあ、解熱剤飲んどくか?辛く無ければ様子を見ても大丈夫だと思うんだが。医者じゃないしな?いつもどうしてる?」

飲むなら飲むかってつもりで、薬と水を渡した。

「熱は?」

「あー、計ったら38度ちょいあった。39度に近かった」

「私にしては上がり過ぎくらい高いです。もう飲みます」

数字を聞かされると、みんなそうなのかな。一気に弱るよな。
藍原は薬を飲んだ。
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