興味があるなら恋をしよう−Ⅰ−
「勝手に連絡して、今日は休みにしてあるから心配しなくていいぞ?」

「あー、…すみません、有難うございます。これでは行けなかったと思うから…。
あ、坂本さん、会社は…」

「俺か?俺は、藍原と一緒に居て、一緒に熱が出たって言ってやった」

「え?!嘘…」

「アハハ。嘘だよ。午前中は休み。大大遅刻だ」

「もー、びっくりしました。そんな事。でも、私のせいで遅らせてごめんなさい」

「あー、全く、本当だよ。優秀な坂本君が、月曜から遅刻の上、午前中も出無いなんて、会社としては損失だなぁ」

「すみません…」

「冗談だよ冗談。確かに出勤して無いのは迷惑掛けてるけど、仕方ないじゃないか、具合が悪いんだから。
そんなに深刻になるなよ。…ま、変な事言った俺が悪いんだけど。
あ、藍原、悪いと思ったけど、汗でビショビショになってたから、服脱がせたぞ。それ、抜け殻だ。
今は俺の服を来てもらってる。
なるべく、見ないように、触らないように、無駄に時間も掛けずに着替えさせたつもりだけど。
ごめんな。肩とか脚とか背中とか、少し見てしまった」

「え?坂本さん…そんなの、大丈夫です。返って、…ごめんなさい。…有難うございました」

…本当は恥ずかしかった。だけど、大袈裟なリアクションをしたら、坂本さんの気持ちに負担を掛けてしまうもの…。善意でしてくれたんだから。迷惑を掛けたのは私なんだもの。
…ちょっと前迄の私なら、えー、何してくれてるんですかー、見たんですね、触ったんですね、って、ヤイヤイ言い合っていたと思う。
今は出来ない…出来る状況では無くなってる。

ハハ。…。俺は介護士みたいなモノかな。
着替えさせた様子を聞いても、藍原はドキドキしている感じもしないな。

……あ、嫌ー!
抜け殻をよく見たら、す、ストッキングまで脱がされてたのね。
当たり前だけど。……仕方なかったとはいえ、何とも、生々しくて恥ずかしい…。
あれを早く隠してしまいたい…。
見様によってはこの現状、コトを致したあとみたいじゃない?
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