興味があるなら恋をしよう−Ⅰ−
「俺そろそろ会社に行くけど、藍原はずっと寝てていいからな」

別に動けるようになったら自分の部屋に帰ってくれていいけど。
今、じゃあ部屋に戻るか、なんて言うのは、流石におかしいだろうし。

「大した物は冷蔵庫に入って無いから、何か買って来て入れとくから。
どうせ食欲は直ぐ戻るだろうからな」

「…もお…確かにその通りですけど…」

昨夜の妙なやりとりは何だったのかってくらい、普通になった。
…こういう時だからかな。
無意識に優しくしてくれる人だから。

「サンドイッチとミックスジュース、アイスでしょ?
それとー、鶏五目のおにぎりが食べたいかも、です。
あ、お茶もですよ」

「はいはい、リクエストの物、買って来ますよ。
振り返すから、もう寝てろ。
行って来る。
あ、着替えたかったら、その箱の中にシャツとか、楽な物が入ってるから。適当に」

「は〜、ぁい。
…有難う…ござ、い、ま…す」

……おい…、もう睡魔が来たのか?
はぁ、まあ、いい…。
寝て起きたら楽になってるだろう。

さてと…。
何一つ不足無く買って置かないと、またブーブー言うんだろうな。
よし、行くか。

俺もシャツ着替えなきゃな。
悪戦苦闘したから汗かいたじゃないか。…軽く流した方がいいな。


俺は後で合流した時、大友さんに冷やかされた。
一緒に風邪か?何してんだかな〜、なんて。
どんな話の伝わり方をしたんだか…。
違うって言っても、まあ、まあ皆まで言うな、解ってる、って言うし。
まあ、放っておいても誤解は解けるだろう。
遅れた俺への話のネタ、意味の無い冷やかしだ。


ブーブー…。ブーブー…。
意識の向こうで携帯の震える音が聞こえてる気がする。
坂本さん…、ちゃんとベッドに置いておいてくれたんだ。
でも、関節が痛い、怠い。確認すら億劫…。
…ごめんなさい、誰だか解りませんが、寝ます。
今は寝かせてください…。
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