興味があるなら恋をしよう−Ⅰ−
ずっと。…抱きしめられたまま。
ドキドキしていたのに…何だか落ち着いて来て。
徐々に睡魔が襲って来た。

自分の身体に回されている坂本さんの腕に、自分の手を無意識に重ねていた。
胸が触れてる背中も、微かに息の掛かる首も…、この状態、ドキドキするけど、眠れそう…。温かい。
意識は遠くなった。


なんとなく目が覚めた。
驚いた。
寝ている間に無意識に寝返りを打ったのだろう。
私の目の前にはTシャツが見えた。
つまり、今の私は、正面から坂本さんに抱き着いていたんだ。これでは、いつもの…私が望んで寝て居る時と同じだ。
ゴソゴソ動いて身体の向きを替えようとした。
あ、…。
動きは直ぐ止められた。

「…寝ろ」

元々回されていた腕がしっかり拘束してきた。
へ…何?その、上からの物言い。
年上は年上なんだけど…。寝ろって…。

「ゴソゴソするな、…寝ろ」

また…だ。かぁ。顔が一気に赤くなったと思う。…判別は出来ないだろうけど。
とにかく身体が急激に熱くなった。…何よ。こんなの…。
…ソフレと同じ事なんだから。…意識の問題よ。

…。…。

自分から望んで一緒に居て貰うのと、行為は同じなんだから。

…。

はぁぁ。折角、眠れてたのに…。寝返りなんかするんじゃ無かった。
はぁぁ。

「藍原…熱い。溜め息が熱い」

何よ。息をしちゃいけないの?溜め息が熱くちゃいけないの?元々私はまだ病人なんですからね!

あ、…。おでこに触れられた。

「ん…。熱は無いよなぁ」

かぁ。…な、何するのよ。更におでこをコツンと当てられた。

「んー。大丈夫そうだよな」

…はぁ。だから。何するんですか。
熱は無いんですってば!……。
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