興味があるなら恋をしよう−Ⅰ−
ん…ん?…居ない?
次に目が覚めた時はもう朝だった。
…また、睡魔に負けてしまったんだ。
慌てて起きて寝室を出た。コケそうになって壁にぶつかった。
…だから、急に起きてはいけない。


あ。
テーブルの上にフレンチトーストがあった。
…カフェラテも、作られていた。湯気が上がっているから、まだほぼ作り立てだろう。

メモがあった。
珍しい。

『体調はいいか?今日は会社行けそうか?
今回は勝手にキッチン使ったぞ。しっかり食べろよ?薬も飲めよ!』

坂本さん…。
昨夜の、坂本さんのお泊りの意図は私には解らない。
だって、強引に泊まらなくても寝る手段はあったもの…。私もそこは指摘しなかったけれど。

…。

温かい内に頂こう。
変だと思ってるだろうな。
いつもの私なら、今頃、坂本さんの部屋に押しかけ、インターホンを連打して、一緒に食べましょうと言うはずなんだ。
だけど今日はしない。多分、それを坂本さんも知ってる。

「…頂きます」

…美味しい。坂本さん……美味しい…です。


ブーブー…、ブーブー…。

あ、…はいはい。課長…。

【おはよう。昨夜は強引にお邪魔して悪かったな。
今朝は具合はどうかな?無理はして欲しく無いが藍原の顔が見られると嬉しいな。
…朝から、引いたか?】

課長…。

【おはようございます。いいえ、引きませんよ?…嬉しいです。
昨日は有難うございました。大丈夫です、出社します】

【そうか、良かった。じゃあ、会社でな】

【はい】
…。
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