興味があるなら恋をしよう−Ⅰ−
水曜は課長と一緒にフロアを出て、車でお店に向かった。

…イタリアン。
ピザはマルゲリータ、パスタはボンゴレを注文して一緒に食べた。
追加で小さめの鍋のアクアパッツァ、カルパッチョも注文した。デザートは私の好きなティラミスにした。

「何だか炭水化物が多くなったけど大丈夫か?」

「はい。そうでもないです、全然問題ないです。たんぱく質もあるし、サラダもあります…気休め程度ですけど」

「ん、藍原、サラダ、多めに食べとけ?風邪の後だから。これも気休めか?」

「いいえ。ビタミンは摂らないより摂った方がいいと思います。出して貰った薬もちゃんと飲んでます」

「あー、薬…善くなったからって薬を飲むのを止めてしまうのは駄目だって言うよな。処方された分は飲み切った方がいいって。あれはどうなんだかな~」

「そうですね。ある程度、善くなったらもう飲みませんもんね」

「そうだよな」


車の中でも今日は普通に話せた。好きの緊張感が、段々いい感じに、慣れたモノに変わりつつあるのか。いい距離感だと思った。もっと話していたい、もっと一緒に居たい。そう思ってしまって…不意に課長を見てしまった。

「ん?どうした?具合、悪くなったのか?」

あ、…。

「いえ、何でもないです、違います」

頭に手を乗せられ、ポンポンとされた。…あ。

「…じゃあ、そんな顔をするな…。行き先を変えてしまいたくなる」

え?

「送らずに…、藍原を家に連れて帰りたくなってしまうから」

あ、…、課長。

「…お邪魔していいなら、私…、課長の部屋に行きたいです」

「藍原…」

手を握られた。
私は一体…どんな顔をしていたのだろう。
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