興味があるなら恋をしよう−Ⅰ−
『解らないように居られる部屋はここしかなくて、ベッドの上で膝を抱え、息を殺して待ちました。細かい事ですが、小さい明かりを点けている事で、電気メーターが動いて終って、バレて終うのかもと思いました』
あ…流石にそこまで気が回らなかったな。
『インターホンが鳴る度、戸惑いました。出てしまおうかと…、くじけそうになりました。
私は業者の方に、私が部屋に居ないように装って貰い、鍵と明細書を坂本さんに渡して欲しいと頼みました。
坂本さんには、今更ながら、いい加減な女だと、訳の解らない女だと、多分、絶対思われたと思います』
…当たり前だ。いきなり鍵を渡されて。
こんな無責任な事を…。解る訳が無いだろ…。部屋に居たなんて。
第一、俺が業者に会わなかったらどうしたんだ。
…あぁ、それも賭けの内の一つって事か。
会わないとは思いもしない。会える運命だと、疑わなかったって事か。はぁぁ…、そうだよな。
『居ないかも知れない、呼んでも反応が無い、その時、その鍵を使って入って来てくれるのか、待ちました』
そんな…無茶な事…。その為の鍵だったという訳か。
鍵があるからって、いくら俺だって…人の部屋に勝手になんて、中々入れないもんなんだぞ。
こんな時はいつもの俺とは違うんだ。以前の俺ならな。遠慮も何も…間違いなく入っていただろう。それは藍原が居たからだ。居ると解ってのことだ。
…あ、でも、……そういう事だったのか。
それを待って、いたんだ、な……はぁぁ。
……も゙う…解るかよ…そんなこと…。あー、くそー…無理だって。あの頃と今とではちょっと違ってるだろうが…。
『1度目、2度目…当然入って来る気配はありません。3度目、…4度目も。
…5度目。この時は流石にドアノブに手を掛けそうになりました…。玄関で息を潜めて待つようになってました。
次、もし、来てくれて、入って来なければ、もう自分から開けて出てしまおうと思いました。もう我慢出来なかったから』
……はぁぁ…期待は外れた。俺は行かなかった。
『6度目は、ありませんでした』
…あぁ、はぁ…、行かなかったからな。
『この部屋を見たら、私はまだここに居る事がバレてしまったと言う事です』
だから?だよ。…藍原の気持ち、解りそうで解り切れない…。
『鍵は部屋を出て掛けた後、ドアポストに入れておいてください。捨てて貰っていいのですが、処分に困ると思われるなら、明細書も入れておいてください』
おい…行間、何か抜けてやしないか?何か考えていて書き忘れたんじゃないのか、読み返さなかったのか?
何かあるだろ?どうなんだ…解らないじゃないか。一体…どうしたいんだ。藍原は…これで、この結果でいいのか?この結果が全てでいいのか?
…やっぱり確かな肝心な事は何もない、解らない。
賭けは…、藍原の本気の賭けは、これで終わったという事か。
そうなんだよな…。それでいいんだよな。
あ…流石にそこまで気が回らなかったな。
『インターホンが鳴る度、戸惑いました。出てしまおうかと…、くじけそうになりました。
私は業者の方に、私が部屋に居ないように装って貰い、鍵と明細書を坂本さんに渡して欲しいと頼みました。
坂本さんには、今更ながら、いい加減な女だと、訳の解らない女だと、多分、絶対思われたと思います』
…当たり前だ。いきなり鍵を渡されて。
こんな無責任な事を…。解る訳が無いだろ…。部屋に居たなんて。
第一、俺が業者に会わなかったらどうしたんだ。
…あぁ、それも賭けの内の一つって事か。
会わないとは思いもしない。会える運命だと、疑わなかったって事か。はぁぁ…、そうだよな。
『居ないかも知れない、呼んでも反応が無い、その時、その鍵を使って入って来てくれるのか、待ちました』
そんな…無茶な事…。その為の鍵だったという訳か。
鍵があるからって、いくら俺だって…人の部屋に勝手になんて、中々入れないもんなんだぞ。
こんな時はいつもの俺とは違うんだ。以前の俺ならな。遠慮も何も…間違いなく入っていただろう。それは藍原が居たからだ。居ると解ってのことだ。
…あ、でも、……そういう事だったのか。
それを待って、いたんだ、な……はぁぁ。
……も゙う…解るかよ…そんなこと…。あー、くそー…無理だって。あの頃と今とではちょっと違ってるだろうが…。
『1度目、2度目…当然入って来る気配はありません。3度目、…4度目も。
…5度目。この時は流石にドアノブに手を掛けそうになりました…。玄関で息を潜めて待つようになってました。
次、もし、来てくれて、入って来なければ、もう自分から開けて出てしまおうと思いました。もう我慢出来なかったから』
……はぁぁ…期待は外れた。俺は行かなかった。
『6度目は、ありませんでした』
…あぁ、はぁ…、行かなかったからな。
『この部屋を見たら、私はまだここに居る事がバレてしまったと言う事です』
だから?だよ。…藍原の気持ち、解りそうで解り切れない…。
『鍵は部屋を出て掛けた後、ドアポストに入れておいてください。捨てて貰っていいのですが、処分に困ると思われるなら、明細書も入れておいてください』
おい…行間、何か抜けてやしないか?何か考えていて書き忘れたんじゃないのか、読み返さなかったのか?
何かあるだろ?どうなんだ…解らないじゃないか。一体…どうしたいんだ。藍原は…これで、この結果でいいのか?この結果が全てでいいのか?
…やっぱり確かな肝心な事は何もない、解らない。
賭けは…、藍原の本気の賭けは、これで終わったという事か。
そうなんだよな…。それでいいんだよな。