興味があるなら恋をしよう−Ⅰ−
「朝、ちゃんと起こすから、何も気にせずしっかり眠るといい。間に合うように送るから心配は要らない」

課長の胸の上で頭を撫でられていた。

「は、い…」

返事は消え入りそうだった。もう睡魔がそこまで来ていた。身体に響く穏やかな話し声は、子守唄のように聞こえた…。


課長はとても優しかった。それでいて情熱的で…。
随分久し振りの私は、正直、色々怖かった。

…するって事。
身体を見られるという事、…行為も。何もかも不安だった。


最中…。
もしかして初めてなのか?そう聞かれて首を横に振った。

…解った、最初は無理はしないから、と言われた…。時間を掛け、ゆっくりと労るように愛してくれた。恐怖心を少しずつ取り去っていくように。

解され、翻弄された、…沢山…。意識が飛びそうなくらい愛された中、課長を強く抱きしめた。
大丈夫だ、恐くないから、その言葉を聞く度、愛情を凄く感じ、私は…素直に応えた。


藍原…、大丈夫か?
何度目かの時、そう聞かれて…。大丈夫ですと応えてしまった。
…失敗だった。
次は大丈夫じゃないと言おう。聞かれたらだけど。

頭を撫でられていた気がする。
優しく抱き寄せられたまま、ずっと。


どれくらい眠っただろう。一眠りして目が覚めた。

人とは敏感なモノである。
身体を動かしたつもりは無いけど、声を掛けられた。

「…よく眠っていたな、目が覚めたのか?」

「は、い…」

ごめんなさい…。ゔ〜ん、凄く…気怠い…。

「はぁ、…俺は眠れない」

「え」

「藍原が俺の胸で寝ている。しかも無防備に全裸でだ。何もかも俺に身を委ねてる…。
今まで何もせず抱いて寝ていたのとは…もう違う。はぁ、…違いすぎる。
可愛い顔をして寝ている。…さっき迄の事を色々思い出す。眠れない…」

「課長…」

そんなに…きっちり語られてもですね…。

「シないならシないなりに、シたらシたで眠れない。つまり俺は、いつにも増して興奮状態にあるという事だ」

課長…。
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